漫画を読むときって、今の自分の気持ちとリンクした作品に触れたくなりませんか?
何も考えずにぼーっと読みたいのは「ほのぼの日常系」、スカッとしたい気分なら「バトル系」、自分の世界に浸りたいときには「ファンタジー系」などなど……。
そしてときどき、なんだか切なくて泣きたい気分のときもありますよね。そんなときにおすすめな1巻で完結する“泣ける”漫画を紹介します。
すべて筆者自身が読んで実際にウルっときた作品なので、ぜひ皆さんにもカタルシスを味わっていただければうれしいです!
1.『優しくしたい。』根本拓実
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耐えがたい毎日をおくる、いじめられっ子の大庭亮介。そんな辛すぎる現実を乗り越えるため、「今の不幸な自分は、来たるべき幸福な将来のために“幸せ貯金”を貯めている状態なんだ」という考えに頼るようになりました。しかし現実は彼に、もっと苛烈な運命を与えるのです。そんな彼から出た『優しくしたい。』という言葉の真意とは?
弱冠18歳にして「スペリオール新人コミックオーディション」で大賞を受賞した根本拓実。彼の連載デビュー作が『優しくしたい。』で初版は2020年です。
あらすじからも分かるとおり、正直言って主人公はかなり不遇な人生を歩むことになります。それでも彼は「いつか、明日が来るのが楽しみで仕方なくなるんだ」と信じて、不幸な出来事が起こるたびに「幸せ貯金」をするのです。
最後のページは感涙必至。彼は「明日が楽しみ」と思えるようになるのでしょうか?
2.『大丈夫。世界は、まだ美しい』荒井瑞貴
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最愛の彼女を失った悲しみにとらわれ、絶望的な孤独感にさいなまれ続ける日々。「きよちゃん、また夢に出てきてよ」「彼女がいない世界でも同じ朝が来ることに驚愕した」--。そんな、最愛の彼女への想いをつづるエッセイ漫画。
荒井瑞貴による、実際の体験と想いをつづったエッセイ漫画です。モーニングの新人賞「THE GATE」の第8回大賞受賞作。初版は2019年です。
作者の荒井瑞貴はずっと日記をつけていたそう。写真関係の仕事をしていたこともあり、たくさんの写真も保存していました。そのためか彼女との関係の始まりから別れまで、とてもリアルで輪郭のあるエピソードと感情が描かれています。
「世界でこの人だけがいてくれればいい」という人を失ってしまう悲しみ。いつか自分にその時が訪れたら――。
3.『ぷらせぼくらぶ』奥田亜紀子
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恋をしてみたかったり、友情を確かめたかったり、大人にはなれなかったり。中学生の多感な時期を過ごす岡ちゃんを中心とした少年少女を描く、連作短編集。大人になるのは、こわいし、さみしい――。
『ぷらせぼくらぶ』は奥田亜紀子の漫画で、初版は2019年。一度は絶版となっていましたが、2023年に新装版が発売されました。
基本的にはコミカルなタッチで描かれる物語ですが、最後に収録されている表題話「ぷらせぼくらぶ」が涙を誘います。
主人公・岡ちゃんと親友・田山は、とあることをキッカケに少し気まずいムードに。なかなか素直になれない岡ちゃんだけど、まだ大人になれない岡ちゃんだけど、仲直りしたくて――。
誰もが経験したことのある「大人と子供との境目」に立つ少年少女のエピソードに共感必至。個人的には「放課後の友達」という回も泣けました。
4.『葬送行進曲』ウチヤマユージ
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嵐の夜、山道に迷った小磯和馬はとある廃屋のゴミ屋敷で一夜を明かすことに。しかしその家は廃屋ではなく、1人の老婆が住んでいました。老婆は彼に、住み込みで働くことを提案し――。
『葬送行進曲』はウチヤマユージの作品で、初版は2018年。代表作に『夏の十字架』『よろこびのうた』などがあります。
主人公は文無し・宿なし・家族なしの前科者。住み込みの働き口で、お給料ももらえるという願ったり叶ったりの申し出なので、小磯はふたつ返事で承諾することに――。
物語が終盤に差し掛かると、老婆が抱える孤独感や家族を失った悲しみが明らかになってきます。次第に家族のような深い絆を築いていく2人の、笑って泣けるエンディングをぜひ刮目ください。
5.『休日ジャンクション』真造圭伍
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twitterで“泣いた”と話題騒然になった「家猫ぶんちゃんの一年」をはじめ全7編が収録されている、真造圭伍渾身の短編集。
『休日ジャンクション』は真造圭伍による全7編の短編集。奇想天外でSFチックな作品も多い作家ですが、この単行本では人間関係をテーマにした作品が多く扱われています。
なかでも泣けるのが「家猫ぶんちゃんの一年」。twitterでも多くのリツイート&いいねされているのでご存じの方もいるかもしれませんね。飼い主が亡くなった後の“ぶんちゃん”を描く、切なくて心があたたまる物語です。
また「がんばれよういち」という、トライアスロンに挑む小学生の物語も泣けます。誰もが経験するような挫折や悔しさ。そんなときに響く家族の優しさ。じんわり胸が温まります。
「家猫ぶんちゃんの一年」はtwitterでも読むことができます。
飼い主が孤独死してしまう猫の一年の話。#猫の日 pic.twitter.com/FjX81WXz89
— 真造圭伍 (@shinzokeigo) February 22, 2020
まだまだ隠れた名作はある!泣ける漫画を読もう
今回は“泣ける漫画”のなかでも全1巻で終わる作品や読み切り作品を紹介しました。もちろん面白い漫画はまだまだこの世に存在します。
切ない気分に浸りたいときには、ぜひ紹介した漫画を手に取ってみてください。またいい作品に出会えたら追記していきます。