【初心者向け】真造圭伍のおすすめ漫画と読む順番について解説

【初心者向け】真造圭伍のおすすめ漫画 サムネイル 漫画

真造圭伍の漫画に惹かれている人に向けて、とくにおすすめの漫画や読む順番、真造圭伍作品の魅力を紹介していきます。

真造圭伍の初単行本『森山中教習所』から2021年連載開始の最新作『ひらやすみ』まですべての作品を読んできた真造圭伍の大ファンである筆者が解説するのでぜひ参考にしてみてください。

真造圭伍の漫画一覧

まずは真造圭伍の漫画を一覧形式で見てみましょう。以下の表は発行年順で、連載作品の場合は第1巻の初版発行年を記載しています。

初版発行年 作品タイトル 巻数
2010年 森山中教習所 全1巻
2012年 ぼくらのフンカ祭 全1巻
2013年 台風の日 全1巻
2013年 みどりの星 全4巻
2016年 トーキョーエイリアンブラザーズ 全3巻
2016年 休日ジャンクション 全1巻
2018年 ノラと雑草 全4巻
2021年 ひらやすみ 既刊4巻
(2022年)
2022年 センチメンタル無反応 全1巻

漫画家デビューは在学中に描いた『なんきん』という短編漫画で、『台風の日』に収録されています。

『森山中教習所』は野村周平と賀来賢人を主演にむかえ映画化、トーキョーエイリアンブラザーズは伊野尾慧と戸塚祥太を主演にむかえドラマ化されました。

初心者におすすめの真造圭伍漫画と読む順番

これから真造圭伍の漫画を読む人は、以下の順で読むことをおすすめします。

  1. 『ひらやすみ』
  2. 『ノラと雑草』
  3. 『森山中教習所』
  4. 『休日ジャンクション』
  5. 『ぼくらのフンカ祭』
  6. 『センチメンタル無反応』
  7. 『みどりの星』
  8. 『台風の日』
  9. 『トーキョーエイリアンブラザーズ』

まずは最新作から順に『ひらやすみ』『ノラと雑草』と読み進めるのがおすすめ。

初の単行本『森山中教習所』発売から10年以上経ちましたが、真造圭伍は今がもっとも“脂が乗っている”と感じるからです。

この2作品が好きなのであれば『森山中教習所』や『休日ジャンクション』も好きだと思います。

『ぼくらのフンカ祭』以降に並べている作品は若干シュールさが強めなので、「真造圭伍に完全にハマった」という方におすすめです。

おすすめ1.『ひらやすみ』

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最新作の『ひらやすみ』は、真造圭伍の持ち味であるのびのびした画風と主人公像がかなりマッチしています。

世間一般とはちょっとだけズレている主人公ヒロト。周囲には“大学に馴染めない人”や“孤独な老人”、“都会に疲れちゃった人”などがいますが、ヒロトの素直さ・優しさは彼らにちょっとした勇気や笑顔をもたらしてくれるのです。

周囲の人たちからは「大人になるにつれて感じる切なさ」が感じられ、対比的に主人公からは「子供のときの純粋さ」のようなものが感じられます。

日常に疲れちゃったときに読みたい漫画。ヒロトの素直さ・優しさに癒やされ、ちょっとだけ気が楽になります。

Twitterで試し読み

こちらは真造圭伍が自身のTwitterで掲載している『ひらやすみ』第1話です。

こちらは『ひらやすみ』第2話です。ヒロトの家に居候することになった従兄弟・なつみちゃんのおはなし。

こちらは第1話より前のおはなし。とあるおばあさんとの出会いを描いています。

おすすめ2.『ノラと雑草』

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『ノラと雑草』は真造圭伍の漫画なかでいちばん暗いテイストの漫画です。

家出を繰り返しながら違法風俗店で働く女子高生・海野詩織。彼女の働く店に捜査が入り、警察官の山田肇と出会いました。

はじめは警戒心を抱いていた海野でしたが、これまで誰にも与えてもらうことのできなかった愛情や気遣いを受け、少しずつ山田に心を開いていきます。

山田は海野をかくまい、ひとり暮らしの部屋に住まわせることを決意。2人にとっては幸せな決断かもしれませんが、事実として「未成年者誘拐」になってしまいます。

お互いに事情を抱える2人が紡いでいく「親子」としての絆。しかし世間はそれをどう見るか。彼らは幸せな人生を歩めるのか――。

全4巻なので気軽に読める量ですが、映画1本観たかのような満足感がある作品です。

ちなみに実際にTwitterで「家出」と検索すると、本作で取り扱われるような投稿もたくさんあるので、考えさせられてしまいます。

Twitterで試し読み

真造圭伍が『ノラと雑草』第1話をTwitterで公開しています。続きが気になる方はぜひ結末まで見届けてみてください。

おすすめ3.『森山中教習所』

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『森山中教習所』は真造圭伍の初連載作品。1巻完結の漫画です。

免許を取りたい清高くん。彼はヤクザの車にひかれてしまい、気がつけば「森山中教習所」という未公認の自動車学校にいました。

そして彼をひいたのは、高校の同級生だった轟木くん。奇妙な再会を果たした2人は、免許取得まで少しのあいだだけ共に過ごすことに。

清高くんと轟木くん、それぞれ人間性もこれからの人生もまったく違う2人のひと夏を描いた作品です。

「映画みたいな1冊だな~」と思っていたら実際に映画化されて、ラストの描写は漫画と少し違ったのですが、そちらも面白かったのでおすすめです。

『森山中教習所』の魅力は、交差したり、しなかったりする人間関係 | レビュー・感想・考察
真造圭伍の漫画と出会ったのは、高校生のころ。 何気なく手にとった『森山中教習所』という作品でした。 表紙は少しシュールで、切り絵のような人物画。背景には青空と生い茂った木々、そして平屋の校舎……。 田舎出身の僕は、ノスタル...

おすすめ4.『休日ジャンクション』

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『休日ジャンクション』は全7編の短編集。個人的には真造圭伍の短編集のなかで1番好きな作品です。

収録されている漫画はヒューマンドラマが中心で、ちょっと笑える話から切ない話まで盛りだくさん。

いくつかの話はTwitterでも読めるので、ぜひチェックしてみてください。

Twitterで試し読み

こちらは『休日ジャンクション』で1つ目に収録されている『休日』という漫画です。青年から大人になった2人の、なんだかちょっぴり切ない1日を描いています。

こちらは2つ目に収録されている『兄と妹』というコミカルな漫画。真造圭伍自身の兄をモデルにしたそうです。

こちらは6つ目に収録されている「がんばれよういち」という漫画。トライアスロンに挑戦する少年を描いています。

こちらは最後に収録されている「家猫ぶんちゃんの一年」という漫画。ツイートは2月22日(ニャンニャンと読むことから「猫の日」)に投稿されて7万RT・18万いいねの大バズりとなりました。

おすすめ5.『ぼくらのフンカ祭』

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『ぼくらのフンカ祭』は真造圭伍の連載2作品目で、全1巻の漫画です。「第16回メディア芸術祭」でマンガ部門新人賞を受賞しています。

金山町は過疎化が進むド田舎。しかし噴火が起こり温泉が湧いたことで、温泉街へと劇的な変化を遂げます。

この町で暮らすクールな少年・富山は町の変わり様についていけず、悶々としていました。一方でお調子者の桜島は、町の変化にノリノリ。

あるとき「フンカ祭」という町を挙げたイベントが開催されることになります。それをキッカケに、桜島の「でかいことしようぜ!」という提案で2人はとある作戦を実行に移すことに――。

性格はまったく違うけれど「きっとこれからもずっと友達なんだろうなあ」と思える2人の友情を描いた作品です。

真造圭伍マニア向けの1冊

真造圭伍が自費出版した『最初期短編集 2003~2009』という作品もあります。

真造圭伍が高校生から大学生のあいだに描いていた漫画を集めた短編集。マニア向けの1冊です。

松本大洋の大ファンというのがよく分かる『春の猫達。月ネコ』という漫画や、『台風の日』に収録されている『ビール獣』の原型になった漫画が読めます。

真造圭伍の個展で販売され、その後「タコシェ」や「アスタリスク」などの通販サイトで購入することができまし。しかしサイト上でもすでにSOLD OUTとなっています。

今後の再入荷の予定はわかりませんが、「アスタリスク」では再入荷通知をすることもできるので、どうしても欲しい方はチェックしておきましょう。

タコシェの商品ページ

アスタリスクの商品ページ

真造圭伍の漫画の魅力

真造圭伍の漫画の魅力は、キャラクターの描き方にあると考えています。

真造圭伍の漫画では、キャラクターの心情・感情をセリフ以外で表現することが多いです。

あまり説明的な描写がなく、それでいて心情・感情はしっかり伝わってくるので、漫画的・ドラマ的な表現に長けていると感じます。

「今このキャラクターはこう考えていてこういう感情ですよ」と説明されてしまうと面白くないですよね。面白いエンタメコンテンツには、読者の想像力にはたらきかける要素が必要だと思います。

とはいえ逆に「このキャラクターが何を考えているのかまったく分からないし共感できない」という漫画も面白みに欠けるのではないでしょうか。もちろんストーリーやジャンルにもよりますが、ヒューマンドラマの場合は共感性が大事だと思うのです。

真造圭伍の漫画では、このバランス感が非常に巧みに描かれていると思います。

「ああ、こういう場面って切ないよね、分かる」

「この場面は恥ずかしいよね、分かる」

キャラクターが「切ない」とか「恥ずかしい」とかを明言していなくても、表情、セリフ、行動、構図から自然に読み取ることができます。

だからこそ自然に共感できるし、自然に意図が伝わるし、自然に没入できる。これが真造圭伍の漫画の魅力のひとつだと思うのです。

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