漫画好きのあいだでは知られていても、なかなか日の目を浴びない「隠れた名作」はたくさんあります。
今回は比較的ライトな層のマンガ好きに向けて、おすすめの隠れた名作を紹介!2000年以前の作品もありますが、今読んでも面白いかどうか、10年後読んでも面白いかどうかを基準にしてピックアップしてみました。
ジャンルはとくに絞っていませんが、どれもハズレなしなので、気になる作品をチェックしてみてください。
1.『アライブ-最終進化的少年-』
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ある日の授業中、叶太輔(かのうたいすけ)は飛び降り自殺を目撃する。そのときに感じた「うらやましい」という感情に本人も驚愕。日本中、世界中で自殺が相次いで大騒動に発展するなか、“能力”を授かる人々が現れていく。
- 2003年連載開始
- 全21巻
『アライブ-最終進化的少年-』は原作・河島正、作画・あだちとかの作品。あだちとかは2011年に連載し開始した『ノラガミ』をヒットさせ、アニメ化しています。
ファンの間では「アニメ化しなかったのが不思議なくらいの漫画」と言われるほど。
主人公も敵も、ほかの漫画にはないオリジナリティの高い“能力”を使うのが魅力的です。
2.『ドロヘドロ』
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「ホール」に住むカイマンは、「魔法使いの世界」からやってきた魔法使いに、頭だけトカゲに変えられてしまった男。記憶を取り戻すため、そして顔をもとに戻すために今日も魔法使いをガブリ……。
- 2000年連載開始
- 全23巻
『ドロヘドロ』は林田球の漫画。2020年にアニメ化され、そちらもかなりの高評価を得ました。林田球は現在ゲッサンにて『大ダーク』という作品を連載中です。
第1巻から不思議な世界観が全開のダークファンタジー。グロテスクでシリアスなストーリーなのに、キャラクターたちがひょうひょうとしていて、独特のユーモアがあります。
恐ろしいけれどユニークな魔法使いたちと戦いながら、カイマンの正体や記憶に迫っていき――。
3.『ARMS』
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主人公・高槻涼(たかつきりょう)の前に現れた転校生・新宮隼人(しんぐうはやと)は「ARMS」を移植された化け物のような左腕を持っていた。ARMS同士の共振により、高槻涼の右腕に宿る「ジャバウォック」の力が覚醒する。
- 1997年連載開始
- 全22巻
少年サンデーで人気を博したSF漫画『ARMS』。作者・皆川亮二はほかにも『スプリガン』や『KYO』、『ADAMAS』など数々の名作を描いています。
ストーリーは“これぞ王道SF青年漫画”という感じです。本人も知らない能力に目覚め、自分を追ってくる謎の組織と戦っていきます。
絵柄の古さが若干気になる方もいるかもしれませんが、一度入り込んでしまうと最終巻までイッキ読みしたくなる作品です。
4.『スプライト』
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女子高生の時任好子(通称:スー)は、高層マンションに住む引きこもりの叔父を世話しています。ある日2人の友人と叔父のもとを訪れると、マンションごと黒い水に飲みこまれてしまい――。黒い水が引くと、マンション以外は見慣れない風景。そこは未来の世界でした――。
- 2009年連載開始
- 全15巻
『よいこ』や『格闘美神 武龍』『カッパの飼い方』など多数のヒット作を生み出してきた石川優吾の漫画です。
マンションごとタイムスリップしてしまった面々は、現代とは異なる環境でサバイバルをしていくことに。
そして屋上には「何百年も生きている」という謎の子供たち。果たして主人公たちは無事に現代へ帰れるのか!?
設定が面白いことはもちろん、徐々に明かされていく子供たちの過去や人間ドラマがとても魅力的な漫画です。
5.『最終兵器彼女』
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「この星で一番最後のラブストーリー。」というキャッチコピーで描かれた、高橋しんの名作SF漫画。北海道の小さな街で交際をはじめた高校生のちせとシュウジ。平和な日常を送る2人でしたが、突然の空襲によって運命は変わります。なんとちせは“最終兵器”として改造され、心も体も兵器になっていくのです。そんな彼女を見守ることしかできない恋人のシュウジ。2人はどんな運命をたどるのでしょうか。
- 2000年連載開始
- 全7巻(+外伝1巻)
『最終兵器彼女』は終末世界を描いたSF漫画のなかでも金字塔的な作品です。いわゆる「セカイ系」の代表的な作品として知られ、2020年時点で発行部数400万部を超える大ヒット作です。
しかし時代の流れとともに少しずつ本作を知らない世代も増えてきて、“知る人ぞ知る”隠れた名作になりつつあります。
インターネット上では「実を言うと地球はもうだめです。突然こんなこと言ってごめんね。」という書き出しで始まるミームも流行りましたが、この元ネタになっているのが『最終兵器彼女』です。
ふわっとしたタッチの可愛らしい絵柄と、絶望的な状況とのギャップがたまりません。
6.『海獣の子供』
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中学生の琉花はハンドボール部内でのいざこざが原因でヤサグレ気味でした。そのまま夏休みを迎えた彼女は、昔大好きだった水族館へ向かい、ジュゴンに育てられたという双子と出会います。彼らは“生命の起源”とされる海で起こる“生誕祭”を目の当たりにすることに――。
- 2006年連載開始
- 全5巻
五十嵐大介の代表作のひとつ『海獣の子供』。2019年にはアニメーション映画化されました。
神秘的かつダイナミックな描写が魅力的で、正直なところあらすじだけでは魅力を伝えきれない作品だと思います。
少し抽象的なストーリーを自分で考察するのが好きな人や、哲学的な表現が好きな人におすすめの漫画です。
7.『ホムンクルス』
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ホームレスとは一緒になりたくないというプライドから車上生活を続ける主人公・名越進。ある日、医学生・伊藤学が彼にとある提案を持ちかけます。「報酬70万円を渡す代わりに、トレパネーションという手術を受けてほしい」というものでした。頭蓋骨に穴を開けるその手術によって、名越に第六感が芽生え、左目で人間を見ると異様な姿に映るようになります――。
- 2003年連載開始
- 全15巻
『のぞき屋』『殺し屋1』などで知られる山本英夫の漫画『ホムンクルス』。2021年には綾野剛を主演にむかえ実写映画化されました。
本作において「ホムンクルス」とは「その人の深層心理が反映された姿」のことです。
体全体が砂の女子高生や、ロボットの体を持つヤクザなど、それぞれの人物が抱えるトラウマや過去の罪悪感を反映した姿が主人公の視点を通して描かれます。
8.『ピンポン』
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舞台は神奈川県藤沢市。幼なじみのペコ(星野裕)とスマイル(月本誠)は同じ高校の弱小卓球部に入部し、強敵たちとの出会いをとおして苦悩しながらも勝利を目指します。
- 1996年連載開始
- 全5巻
尾田栄一郎をはじめ、数多くの漫画家に影響を与えたカリスマ的存在・松本大洋。彼の初ヒット作として知られているのが漫画『ピンポン』です。
連載当時は地味とされていた「卓球」という競技を、躍動感とスピード感あふれる描写に昇華し、スポーツ漫画に革命を起こしたとも言われています。
実写映画化・アニメ化されていてどちらも高評価なので、漫画とあわせて楽しむのもおすすめです。
9.『プラネテス』
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科学が発展した近未来、人類の宇宙空間への進出が盛んになっていました。「デブリ」(宇宙開発によって排出された粗大ごみ)の回収業者であるハチマキ(星野八郎太)の成長、そして彼を中心としたヒューマンドラマが描かれます。
- 1999年連載開始
- 全4巻
2002年度星雲賞コミック部門受賞、2003年にNHKでアニメ化された『プラネテス』。作者の幸村誠はほかにも『ヴィンランド・サガ』を代表作としています。
設定だけ見ればSFもの、しかも粗大ゴミ回収業者という地味な設定の主人公かもしれません。しかし第1巻を読めばわかりますが、この漫画の本質はヒューマンドラマです。
夢とは、愛とは、仕事とは、といった普遍的なテーマのストーリーが宇宙という壮大なスケールのなかで描かれます。